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2014年10月16日木曜日

内海聡先生の件

内海先生というのは、精神科を中心に現代医学の多くの分野に批判的な講演や著作を行っている医師なのですが、 ほとんど科学的な根拠もなく、ほとんどネットなどの伝聞情報レベルの話を元にして、多くの治療法や薬、予防接種などに批判を続けている、少々困ったトンデ モ医者です。
彼の、少々困った「活動」についてはリンクを貼りませんので、興味のある方は、グーグル先生に聞いてみてください。

※このエントリーは、今年8月にFacebookで投稿した内容に、少しだけ加筆したものです。

むかし、彼が、今ほどエキセントリックなことは言っていなかった頃、僕は、彼と、少しの間、ツイッターでつるんでいたことがありました。
彼は、少し変な人で、それから、当時から、自分は医者に向かないと思ってずいぶん悩んでいたようなことを言っていましたけれど、今のように医学的におかしな奇説は言っていませんでした。

そのうち、彼が少し変なことを言うと、それに共鳴してリツイートする人たちが現れ、彼のまわりに、「いろんな医者にかかったけれど、あまり良くならない」とか、まあ、そんな経験を持つ人が集まりだして、いつのまにか、彼の周囲に、医者に不信感を持っている人のコミュニティができ始めました。そうこうしているうちに、信者と教祖のような感じになり、彼も、徐々に、普通の医学から見るとずいぶん変なことを言う頻度が高くなり、さらに、それに共鳴する、よりエキセントリックな信者が増えてきました。

おそらく、比較的穏当な医者に相談していたつもりだった初期のフォロアーたちは、彼がエキセントリックな主張をするようになった時点で離れていったのではないかと思います。そして、僕は、その頃、だんだん面倒な人になってきた彼をツイッターで批判して、その結果、彼にブロックされました。その後、彼の熱心なフォロアーたちは、彼を招いて、あちこちで講演会を主催したり、本を書くように促したり、そういう活動をしていきます。彼自身も、その過程で、さらに普通でない主張をするようになって行ったのでしょう。

今の彼は、迷惑で有害なニセ医学をネットで喧伝しつづけるトンデモ医者です.
ですが、初めてツイッターでコミュニケーションをとった頃の彼は、自分が、「普通の医者」ができないということに悩んでいましたけれど、それ以外に、「普通の医者」と大きな違いはなかったように思います。

では、何が、彼を、いまのような彼にさせたのでしょうか?

学生時代に、医学部に来なければよかったと後悔し、医者になってからも、自分が医者に向かないのではないかと悩み、自分は、他の職業のほうが向いていたんではないかと思い、悩んだあげく、結局、「普通の医者のレール」からドロップアウトしてしまったという人は、結構います(※1)。僕は、そういう人は、僕自身も含めて、何人も知っています。

僕の知る限り、そういう人の多くは、大学病院的なカリキュラムにない医学分野、たとえば、漢方であったり、プライマリケアであったり、公衆衛生であったり、あるいは、基礎研究であったり、行政であったり、に関心を持つようになっていきます。

彼の場合は、そういう、まっとうな「プランB」にたどり着く前に、「自分の信者」に出会ってしまっただけで、それ以外に、他のドロッポ組との違いは大きくないように思うのです。

今から、彼をまっとうな世界に戻すことは難しいと思いますが、彼と同じような問題医者を再度作らない、再発防止策はないものかと考えています。
たぶん、「プランB」的医学が今よりも目立つようになることが、その助けになるのではないかと思っています。


※1「普通の医者のレール」からドロップアウトしてしまったという人は、結構います
これは、本当に多いです。おそらく、普通のサラリーマンの世界よりも、ドロップアウトする人の割合ははるかに多いのじゃないかと思います。これには、幾つか理由があるように思います。
第一に、多くの医者の最初の勤務先になる大病院というのは、世間でもまれに見るようなブラック体質の職場だということです。ブラックだから、当然、それについていけない人はたくさん出てきます。第二に、「普通の医者」としてやっていくためには、性格的な適性が必要だということです。これについては、以前、こういう記事を書いたことがあります。第三に、ドロップアウトしても、医者は、それなりに食べていけるからドロップアウトすることへの歯止めが、普通のサラリーマンよりも小さいという部分もあるでしょう。


※2ドロッポ組
この記事を最初にFacebookで書いた後、ドロッポ組って何?って聞かれました。「ドロッポ組」という言葉は、業界によっては、あまり使わない言い回しかもしれません。最初に勤務した職場からドロップアウトした人たちのことです。「ドロッポ組の医者同士で集まるオフ会」なるものに出たことがありますが、みんな、本当に濃いメンツばかりで閉口しました。

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